EVENT REPORT

2017 2.25

SATURDAY

★ 地域づくりオールスター祭をイベントレポートします ★

会場:出雲国際交流プラザ

参加者 161人

県内の地域づくりにかかわる人が集い、つながり、次年度への活力を養うために開催された、「地域づくりオールスター祭」。今回で2回目を迎えました。

日ごろはそれぞれの地域で活動している皆さんが、「島根を盛り上げよう」という思いを確かめ合い、シェアするイベントです。

 

私たちくらしアトリエも、島根という地域と毎日の暮らしを見つめる活動を行っています。島根各地でどんな地域づくりが、どんな人たちによって行われているのか。その思いに触れて、自分たちも大いに刺激を受けたい!という気持ちで参加しました。

 

それでは、熱気にあふれた当日のようすを潜入レポートします!

レポート:NPO法人くらしアトリエ 栂 慈子

どんな会場の雰囲気?

会場は、出雲市の「出雲国際交流会館 出雲国際交流プラザ」。

会場のデコレーションは、安来市広瀬町の「YamasaClub」さんによるもの。前日から泊まり込みで制作された、竹を使ったオブジェがあちこちに飾られていました。

 

会場は、開放感のある吹き抜けの空間。ステージの前には、なんと「こたつ」!島根っぽい!

アットホームな雰囲気の中、続々と参加者の皆さんが到着されました。

 

事例発表を見てみよう!

主催者あいさつの後、さっそく祭の始まり。

 

まずは、しまね田舎ツーリズムpresents「全国のオールスター!!県外講師による事例発表」です。

今回は、それぞれ異なる活動に取り組む3人の講師が、それぞれ個性豊かな発表をしてくださいました。

 

まずは、大分県豊後高田市の農家民泊「明朗屋」の女将で、「豊後高田市農漁村女性集団連絡協議会(BAFF)」会長の和泉やす子さんです。

 

和泉さんはご家族でぶどう、白ネギなどを栽培する農家さん。

高校時代にパール・バック著「大地」の「それは、土から来たのだ。」から始まる一節を読んで感動し、土と関わる仕事がしたい!と農業を志したそうです。

その後、農業大学校に進学し、昭和45年、ご結婚と同時に農業に従事され、平成18年に地元ぐるみで農家民泊「明朗屋」を始められました。「農家の嫁、大家族を預かる者として大変な思いもしてきたけれど、その経験が民泊の運営に役立っています。料理や布団の上げ下ろしなど、当たり前にやってきたことがグリーンツーリズムに活かせていて、とても楽しい毎日です」と和泉さん。

都市部の子どもたちを民泊で受け入れると、土に触った経験がほとんどない子、「こんなことをしていると勉強する時間がなくなっちゃう」と焦っている子、よその家に泊まった経験すらない子がいるそうで、そんな子どもたちが体験を通して表情を変え、お礼状を送ってくれることも喜び、とのこと。

 

日本の美しい風景、おいしい食、人のあたたかさ、今後は外国の人たちにも「ここでしかできないこと」を伝えていきたい、とおっしゃっていました。

夢を追いかけて前向きに活動されている和泉さんの思いが伝わってくる発表でした。

続いて、岡山県から「NPO法人英田上山棚田団」理事、「一般社団法人上山集楽」代表理事の西口和雄さん。

かつては大手ゼネコンに勤務し、耕作放棄地を買い取ってゴルフ場を開発する立場にいたという西口さんは、東日本大震災を機に人生観が大きく変わったといいます。現在は、NPOの一員として荒廃した田畑を山焼きし、ソバを育て、何年もの時間をかけて豊かな農地の状態に戻していく取り組みを、地域ぐるみで行っています。「米は日本人のアイデンティティ。しっかり守っていかなければ」と西口さん。平成27年には、棚田保全のための移動手段や、中山間地域の新たなシステムを構築するために、トヨタ・モビリティ基金の全国初の助成対象となりました。

常にアグレッシブに活動する西口さん。「田舎にはマーケットがまだまだ豊富にある。それを捕まえるためには、いつもアンテナを張っておくことが大切。自分はいつも誰が何をしているのかリサーチしている。でも、真似はしない。真似はダサいから」と、オリジナリティーの大切さを力説しました。

 

現在、棚田で収穫された米を使って仕込んだ酒は、都市部を中心に高値で取引されているとのこと。今後も面白いこと、楽しいことを追いかけていきたい、と夢を語りました。

とにかく元気で楽しそう!という印象の西口さん。これだけの大きなプロジェクトを動かしていくのは並大抵のことではないと思います。それを「楽しんで」できてしまうところも、西口さんのオリジナリティー、才能なのかもしれません。

ロマンあふれる楽しいお話に、会場も大いに沸きました。

「ここでしかできないこと」を伝えていきたい、とおっしゃっていました。

夢を追いかけて前向きに活動されている和泉さんの思いが伝わってくる発表でした。

最後に、東京都から「ボノ株式会社」代表取締役の横山貴敏さん。

 

人々を巻き込むためのアイデアとして「引力」という言葉を使われていたのが印象的でした。若い(新しい)・楽しい・おいしい、といったキーワードを用いて「引力」をつくり出し、人をスペースに引き寄せる、というものです。横山さんはこの手法を用い、東京と地域をつなぐコミュニティスペース「我楽田工房」を運営しています。

「我楽田工房」は、「いま」を面白く、というテーマのもと、地域の生産者との食交流イベントや、木のキッチンを作るワークショップなど、多彩な活動を展開。また、みらいを創る試みをして、若者、特に大学生とまちをつなぐ「まち冒険」というプロジェクトを全国で開催し、島根では吉賀町でも実施されました。東京での講演、ワークショップ、そして実際に地域に赴いてのフィールドワークなどを通して、社会に貢献することのやりがいや楽しさを伝えていこう、と考えています。

また、地域の中で働く看護師「コミュニティナース」の育成事業にも力を入れていて、2025年までに1000人のコミュニティナースの育成、500地域での展開、100社以上の企業との連携、などを目標とされている、とのこと。

「誰かと誰か」という関係性だけではなく、興味のある人や、関係する多くの人たちが引き寄せられ、ひとつの場所に集まってさまざまな考えを持ち寄ることで、より多様性のある答えが導き出せる、そうしたとても参考になる考え方を提案していただきました。

最後にメッセージとして、「たくさんの縁を作り、たくさんの人脈を作ることが大切。人の数を増やし、確率を上げていくことで事業が行いやすくなる」というメッセージがありました。

 

 

3人の講師の方それぞれに、自分のフィールドをしっかり持ち、地に足のついた活動をされているなあ、という印象でした。

そして、3人とも明確なビジョンをお持ちだということも感じました。漠然と、ではなく、「〇〇年までにこれだけのことを成し遂げる」という具体的な目標を設定する、というのも、地域づくりを前に進めていくためには必要なことなのですね。

参加者の皆さんも熱心に、それぞれの活動に重ね合わせて考えを巡らせていらっしゃいました。

お楽しみ!試食会。

県外講師から具体的な事例を聞いた後は、お待ちかねの「みんなの自慢の逸品大試食会」タイム!

県内各地からさまざまな食材が集まって、楽しいランチタイムとなりました。

 

たくさんの団体の中から少しだけご紹介します。

 

 

飯南町 「グランディア赤名峠」イノシシ肉を使った中華まん

「飯南町の野山を駆けめぐっているイノシシ肉を使った中華まんです。」かわいらしいフォルムで食べるのがかわいそうなくらいです。

 

益田市「合同会社アグリ米ブリッジ」こおり餅

「耕作放棄地だった田んぼを200枚借り上げて減農薬米を栽培しています。」

そのお米と特産の柚子などを使って作ったお餅。フライパンで香ばしく焼いて大好評でした。

 

海士町「(株)巡の環」本氣米

「隠岐牛の堆肥と岩ガキ『春香』の牡蠣殻の栄養で育てたお米。稲わらは牛が食べ、豊かな土は海のミネラルになる、という循環型農業を実践しています。」

一番のこだわりはこの名前!本気です!とのことです。

吉賀町「吉賀町有機茶ブランド化促進協議会」カルダモンティー

「長年続いてきた無農薬の茶園が、高齢化のため存在が危うくなっています。若い方たちにも親しんでいただけるように、今回は紅茶に仕上げました。今年初めてできた紅茶です。」

すっきりした飲み口で香りが素晴らしい紅茶でした。

 

奥出雲町「囲炉裏サロン田樂荘」おにぎりとお漬け物

「田植え、稲刈り、ハデ干しなど、なるべく人の手で米を作りたい、という思いで手間をかけています。おにぎりは、伊勢神宮奉納米です、縁起がいいです。」

田舎ツーリズムでの体験プログラムのひとつ、オーガニックコットンの種取り体験も行われました。

 

大田市「認定NPO法人緑と水の連絡会議」わさびの葉のピザ

「大田市温泉津町の豊かな水で育ったわさびです。先祖代々受け継がれてきたわさび田の継承を、環境作りから行っています。」

シンプルなピザ生地の上にわさび葉をトッピング。これは自分でも試してみたくなるアイデアでした。

参加者の皆さんにうかがいました!

 

・須佐屋の「しかカレー」は初めて食べましたが、スパイシーでおいしかったです。お米が2種類ありましたが、私は奥出雲町在住で仁多米は食べ慣れているので、今日は隠岐の「本氣米」とカレーを合わせてみました。

 

・いろいろな地域のお料理があり、迷ってしまいましたが、たくさん食べられてとても楽しかったです。素朴なお漬け物やお料理が特においしかったですね。自分も地域で活動をしているので、六次産業化の事例として非常に参考になりました。

 

試食会中には、「2016年度共感CМ大賞」の発表もありました。

大賞「認定NPO法人緑と水の連絡会議」

審査委員特別賞「出雲市総合ボランティアセンター」

共感CMとは、団体の活動を広く周知し、より多くの共感を得てもらうため、県内のNPO法人や地域づくり団体が作成したCMです。大賞作品のほか、全10作品を見ることができます。

県民活動応援サイト「島根いきいき広場」

 

 

事例発表&分科会

さあ、午後からはより具体的に、地域で活躍する実践者たちの体験を共有する時間です。

今回は、より具体的に地域をとらえるために、7つのテーマの分科会が設定されていました。

 

まずは、7つのテーマのもと活動する事例団体の皆さんが10分間のプレゼンテーションをされました。その後、テーマごとに分かれての分科会。参加者の皆さんはご自身の活動内容や興味をもとに、2つのテーマを選んで参加することができます。

フリータイム&名刺交換会

分科会が終わり、充実した表情の参加者たち。参加者は2つの分科会しか参加できていないので、もう一度全体の場で、それぞれの分科会での様子や語りポイントについて、ファシリテーターからフィードバックを受けました。

 

最後に、素敵なコラボレーションによるライブが!

雲南市在住のミュージシャン・白築純さんと、出雲市在住の自然光ダンサー・髙須賀千江子さんによるセッションが開催されました。

「ふるさと島根への愛を表現」と題して、白築さんのパワフルな安来節ジャズバージョンに、これまたパワフルな髙須賀さんのダンス。生命力がぐっと観客に迫ってくるような時間でした。

最後に、フリータイムで名刺交換や情報交換を行いました。

その後、全員で記念撮影!

「みんな頑張ってるんだなあ…」というのが、イベントを通して感じた率直な気持ちです。

 

頑張り方の方向性はいろいろだけど、みんなその土地を愛し、地域のためにできることを自分なりに模索して動き出した結果、こんなにバラエティに富んだ地域づくりが生まれてきたんだなあ…まさにみんながスター!なんですね。

地域づくりは、とかく自分のホームグラウンドでひたすら地域に向き合う、というやり方になりがちで、「他の地域を見る」「他から学ぶ」という機会は、普段あまりありません。だから、こうして地域で頑張る人全員集合!というイベントがあると、「こんなことやってる人もいるんだ!」という驚きや、「スタイルは違うけど、目指していることは一緒なんだな」という新たな発見があります。

大切なのは、その新鮮な驚きや発見を見逃さないこと、自分だけじゃなくそれぞれの団体でシェアすること、そして、それを地域の活力へつなげていくこと。そのために、こうして「みんなが集まって、みんなで分かち合う」というスタイルはとても大切な場、なのです。

 

この日、この場に集った皆さんがそれぞれのフィールドで地域に関わり、島根を元気にしてくださることを期待しています!

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主催:(公財)ふるさと島根定住財団

イベントレポート作成:NPO法人 くらしアトリエ